『割増商品券』と『ハサップ登録漁船誘致』について総括質疑をしました。

こんにちは!

土見です。

塩竈市議会6月定例会の初日に行った総括質疑についてご報告します。(ちょっと長文です)

私からは『割増商品券事業(第4弾)について』及び『EU-HACCP登録漁船乗組員支援商品券支給事業について』の2件について総括質疑(大枠についてサラッと)を行いました。

目次

■割増商品券事業(第4弾)について

塩竈市では市内経済の消費喚起を目的として国の新型コロナウイルス対策臨時交付金を用いて割増商品券の発行を行っています。今回議案として上程されたのものはその第4弾です。

割増商品券というと通常目にするのは2割増とか3割増という割増率もの。しかし塩竈市が行っているのは10割増であり、5,000円出すと10,000円の商品券が購入できるという大変太っ腹なものです。一市民として考えたとき、支払った額の倍の額面の商品券をもらえるというのですからそれはそれはとても嬉しいことですが、塩竈市の経済を俯瞰して見た場合、それが本当に良い経済効果を生んでいるのかは疑問が残ります。また、過去の事例を見ても同じ予算があればもっと効果の高い事業を行うことが出来ると考えています。

今回質問させていただいたのは以下の5点です。

1.割増率の高さについて

平成27年に”プレミアム付き商品券”というものが全国の自治体で発行されました。

この結果を国の方でまとめた資料(”地域消費喚起・生活支援型交付金事業における効果検証に関する報告書”)から、割増率と消費喚起効果の関係性を読み取ることができます。報告書から、割増率が10%〜20%程度の場合、消費喚起効果(商品券があった事によって新たに生まれた消費)が高いということが試算できます。また、商品券利用者へのアンケート結果からは、割増率が上がるにつれて消費行動が変わり、割増率が高い場合は消費喚起効果は低下するものの普段買うことができない高額の商品を購入する傾向があることもわかりました。

塩竈市の10割増商品券をこのデータに当てはめると、消費喚起効果はほとんど得ることが出来ないという結果になります。また、塩竈市内業者の産物で高額なものも多くありません。社会的な環境も異なり、平成27年の結果がそのまま今回の事業に適用できるとは思っていませんが、過去のデータも参考にしながら事業構築をおこなっていただけるよう指摘をさせてきただきました。

2.事業効果見積もりについて

今回塩竈市は市内経済における消費喚起を目的として、10割増商品券を発行しようと考えておりますが、上の結果から考えると目的に沿った効果を出したいのであれば今回の割増率は理にかなったものでは無く、10割増商品券を1回発行するよりも、数割増の商品券をタイミングを見て複数回発行する方が効果が高いと考えられます(何回も実施するのもどうかとは思いますが・・・)。また割増率を上げることにより消費喚起効果は見込めないものの、消費者に別の消費行動を促すことができるという結果も出ており、それを狙っての事業であれば理解はできますが、具体的にどのような目的を持って、何を成果目標として考えているのかはまだ曖昧な状況です。

何をしたいのか(目的や狙う効果)が曖昧だと事業内容の適切な評価はできませんので、議会に上程する際は明確にしてもらえるよう引き続きお願いしていきます。

3.支援先の選定について

今回の割増商品券は『10割増商品券+α』として特定の組合加入事業者で利用できるクーポン券1,000円相当が付与される予定です。コロナ禍で大変苦労されている事業者のみなさんがいることは重々承知していますが、何の根拠も示されないままに特定の方々だけを支援するやり方は、説得力に欠けるもので、質問に対する答弁も「事業者が大変だから」と客観性に欠けるものでした。また、市民の行動様式が変容していくに合わせて事業者も変化していかなければならないと考えています。市役所には、我々市民に対して説明ができる事業を行ってもらいたいです。

4.効果検証について

国からは、新型コロナウイルス対策臨時交付金を用いた事業は、その効果を検証し公表することが求められていますが、塩竈市では事業実施結果はまとめているようですが検証までは至っていなく、また結果も公表は行っていません。結果を検証し他者の目に触れられる状態にすることで、他の取り組みの参考になったり、自分たちの間からは生まれなかった新たなフィードバックを得られ、次に同様の事業を行う際の糧となると考えています。

引き続き、事業効果の検証と公開をうったえて行きたいと思います。

5.事業効果の範囲について

今回の割増商品券を購入できる対象者は塩竈市民(1世帯1セットのみ)ですが、割増率を下げて市外の方にも購入いただける形にした方が塩竈のPRにもなりますし、大きな経済効果を生むと考えます。実際、塩竈市も過去に市外の方に販売したこともありますし、他自治体では外から消費者を招いているところもあります。割増商品券の性質上、購入者の経済的支援という目的もあると思いますが、割増率を調整したり、GoTo事業のように特定の行動に対して付加価値を高めることで、市内事業者の活動を応援できる形もあると思います。

■EU-HACCP登録漁船乗組員支援商品券支給事業について

塩竈市魚市場は、EU(欧州連合)向け輸出水産商品取扱施設(EU-HACCP)の認定をされています。この事は漁港として大きな強みの1つであり、ハサップに対応した漁船を多く誘致し、取扱量を増やすことで魚市場の収支赤字の解消はもちろんのこと、周辺の経済を活性化させることができます。今回の議案は、塩竈市魚市場に水揚げしてくれたEU-HACCP登録漁船に対し、乗組員一人当たり3000円の仲卸市場商品券を支給するというものです。

私からは以下の3点について質問させていただきました。

1.ライバル漁港の取り組みについて

現在、日本の水産業自体が非常に苦戦を強いられており、 経営に余裕のある漁港はほとんどありません。その中で、他の漁港に対して優位性を持った事業でなければ、漁船は塩竈港に入って来てはくれません。そこで他の漁港がどのような取り組みをしているのか、今回の事業は他港の漁船誘致活動に対してどのような優位性を持っているのかをお伺いしました。 回答の中で、参考にした漁港や事業の話をお伺いましたが、他港実施しているものと同様の事業では、塩竈港に入港しようという動機づけにはなりにくいと思っています。

2.漁船の乗組員の消費行動から考えて、今回の事業は適切なインセンティブになるか?

この取り組み自体は良いものだと考えますが、仲卸市場が漁船の乗組員のニーズ(商品種目や営業時間帯など)にマッチしていることが前提ですので、この事を指摘させていただいたところ、市役所からは仲卸市場において水産物以外の取り扱いが増えていることもご紹介いただきました。これは 乗組員だけではなく、我々市民や観光客にとっても利便性が増すことにつながるので、ぜひ進めていただきたいと思います。

3.漁船誘致の目標について

EU-HACCP登録漁船の誘致活動に於いて、ライバルはどのくらいいるのか、EU-HACCP登録漁船は何隻あって何隻に入港してもらうことを狙うのか、しっかり目標を立てて事業を実施してほしいと思います。

長くなりましたが、私の総括質疑については以上です。

新しいことに取り組む姿勢はとても良いと思います。過去の事例を検討したり似た事例を参考にしたりと、その効果をより大きなものにするための行動をとってもらえるといいなと思いました。

明日21日からは、上程された議案について専門の委員会で詳しく審議していきます。

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